読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

肆の伍の03 -【お金が欲しい】

壱「お金が欲しい」

 
-
 
弐「優しいパパにお願いしたら?」
参「含蓄があるね」
壱「リスクもなく楽にお金が欲しい」
弐「両面コピー印刷とかは?」
参「最近のコピー機はお札コピー出来ないらしいよ」
壱「んな酷な」
弐「私もツッコミに回った方がいい?」
参「当番制とかじゃないから」
弐「2人がそう言ってくれるなら私も頑張るよ」
壱「何を?」
弐「どうやって錬金するかじゃなかった?」
壱「錬金?」
参「等価交換だ」
壱「それだと代償が必要だね」
弐「やっぱり春かな」
参「リスクだらけだね」
弐「内臓とか」
壱「リスク増えた」
弐「腎臓の一個や二個、大差ないって」
参「二個抜くと死んじゃうよ」
壱「じゃあ一個」
参「どの筋にお願いすればいいのかな」
弐「ヤの字」
壱「リスキーだなどれも!うわぁん!」
弐「あっ!」
参「……何?」
弐「……いや、なんでもない」
参「なんでもないとか言われると気になっちゃうじゃん」
壱「勿体ぶらずに言ってみなって」
弐「いや、リスクがあるなぁと思って」
参「いいよいいよ」
壱「ヘイ、カモン」
 
-
 
弐「アルバイトをする」
 
-
 
壱「等価交換かぁ〜……」
 
「お前ら錬金でもするのか」
弐「腎臓を抜くアルバイトです」
「そうか、帰れ」
参「んな酷な」

肆の伍の02 -【登校が怠い】

壱「登校が怠い」

 
-
 
弐「ペットボトルならあるよ」
参「労い?」
弐「いやロケットになるかなって」
壱「どこまでも私のスカートが犠牲になるね」
弐「じゃあこうしよう。私がひーちゃんのスカートを履いて登校すれば、ひーちゃんはそのまま家で寝ていられる」
参「なるほど、スカートの犠牲もなく解決したね」
 
-
 
壱「いやいやいやいや、私の本体スカートになってんじゃん」
弐「解決したじゃん」
壱「登校は怠いけど、学校には来なきゃいけないじゃん!」
弐「じゃあ私が代わりに学校行くから」
壱「ありがとうつぐみん」
参「それでいいの?」
壱「ダメだよなぁ〜……」
参「学校に住むとか」
壱「いやだよぅ勉強したくないよぅ」
弐「わがままひーちゃんに画期的な解決法を」
壱「申せ」
弐「学校がひーちゃんちに迎えに来る」
参「天変地異だね」
壱「うちに入るかなぁ、学校」
参「招いちゃったよ」
弐「スカートの中には無限大の希望が」
参「ダメだひーちゃんスパッツだ」
弐「おのれ、またしても……!」
壱「ダメだどう考えても入らない」
参「考えなくてもわかってほしかったな」
弐「学校に住むのもダメ、学校が迎えに来るのもダメって」
参「と言うことは?」
弐「家が歩いてく」
壱「わたしんちに脚生えちゃったね」
参「いや、いい線いってると思う」
壱「やっぱり?」
弐「じゃあ家の周りにペットボトルロケットを巻く」
壱「わぁいビショビショだぁ」
参「じゃあアレ置こう、植木」
弐「一石二鳥じゃん」
壱「でも推進力足りる?」
参「力でねじ伏せる」
弐「数の暴力」
壱「やっぱそうか〜」
参「諦めないで」
壱「空じゃなくてもいいんじゃない?」
弐「海?」
壱「どうして難度高い方行っちゃうかな」
参「じゃあキャタピラで」
壱「みっちゃん流石」
弐「えぇ〜、キャタピラで走ったらキャラ被るじゃん」
壱「キャラ?」
弐「バケットホイールエクスカベータ。山を採掘するやつ」
参「大丈夫、うちらの方がちっちゃい」
壱「わからないよう」
参「わからなくていいことも、世の中にはあるさ」
弐「じゃあ個性を意識して家にスカートを履かせる」
壱「多分引きちぎれるんじゃないかな」
弐「それでいてペットボトルロケットから水がザバァ」
壱「オーバーキルだよぅ……」
参「ワゴンで寝泊まりするとかは?」
壱「みっちゃん冴えてる」
弐「住み心地えらく悪くなったな」
 
「お前らなんの話してんだ」
 
参「車中泊の話です」
壱「そうだったっけ?」

肆の伍の01 -【空を飛びたい】

壱「空を自由に飛びたいなぁ」
 
-
 
弐「ヘリコプター?」
壱「いや、もっと自由になりたい」
参「この支配からの?」
壱「そういう自由じゃなくて」
弐「じゃあもうちょっと不自由に?」
壱「いや自由でいい、自由でいいんだけども!こう、ね!あるじゃん、上にブーンと」
参「上へ、参ります♪」
弐「チーン♪」
壱「今一番遠ざかったよ!今!」
参「つまり個人レベルで自由に飛ぶ方法を考えたいわけだな?」
壱「流石みっちゃん!」
弐「個人レベルのだと、棺桶的な……」
参「上へ、参ります♪」
弐「チーン♪」
壱「ま〜た遠ざかった〜!」
 
壱「まあ要はタ○コプターみたいなの」
弐「たらこ」
参「たらこぷたー」
壱「折角纏まったのにもう〜」
参「空を自由に飛ぶもの!」
弐「はい!」
参「つぐみん!」
壱「自由かなぁ……」
参「元より自由には責任が伴うからね……」
壱「そういう話?」
参「飛んでみたらわかるんじゃないかな」
壱「今まさに飛ばんとしてるところだよ」
弐「背負えばいける」
参「おお」
壱「推進力が足りなそう」
弐「数の暴力でいこう」
参「暴力反対」
壱「でもビショビショになりそうじゃない?」
弐「それは……」
参「尊い犠牲だった……」
壱「じゃあ濡れない方法!」
弐「はい!」
壱「つぐみん!」
弐「傘を差す!」
壱「それ多分上方向しか守れないんじゃないかなぁ!」
参「じゃあ下に差す?」
壱「どうやって?」
参「こ、こう……広げて踏んづける感じで」
壱「傘だけ地面に乗っかったままだね!」
弐「いいよ、この際ひーちゃんのスカートは必要な犠牲だよ」
壱「わかったよ……私のスカートで空が飛べるなら本望だよ……」
参「諦めないで」
壱「それよりも早く空を飛ぼう」
弐「はい飛んだ!ペットボトルからビシャア言って飛んだよ!」
壱「スカートの犠牲の下に」
参「右に曲がるぞ〜」
弐「右へ、参ります♪」
壱「どうやって曲がろう!!」
弐「はい、うちわ!うちわあるから早く!」
壱「うちわで曲がれるかなぁ!?」
参「下敷き貸そうか?」
壱「ここ空だから!下敷きの貸し借り出来ないし!」
弐「扇げ扇げ」
壱「よっしゃ、任せろ!うおおおおおッ!!」
参「落ちないように下からも扇ぐから!」
壱「いやぁ!スパッツ見えちゃう!」
弐「何スパッツ履いてんだよ!ラッキースケベに貢献しろよ!」
壱「待って!落ちる!」
参「扇げ扇げ!」
壱「これって自由なのかな!自由に飛べてるかなぁ疲れるんだけど!」
 
「お〜い、そろそろ下校時刻だぞ〜」
 
弐「自由は死んだ」

絡繰少女と风の唄 1話

「先生!いるのはわかってるんですよ!!」
インターフォンの連打と共に叫ぶ声が、〆切を知らせる死神となって現れる。
胃がキリキリしてきた。待ってくれ。うるさい。今書いてるから。
キーボードを叩く音が、私の頭の中で構成した文章を出力していく。
『ユキさん……』
サクラが不安そうにこちらを見ている。私がユキだから、サクラ。現時点でかなり万能なガイノイドだ。
しかし何もかもが集中力を乱していく。ええい、儘よ。
「サクラ、ごめん、客人の相手してきて。出来る限り構ってきて」
顔がぱぁっと明るくなって(いつもながらこの指示を受けた時の表情が可愛いのである)返事をし、部屋を出て玄関へと赴いた。
原稿は無惨にも、分量で見て軽く1時間はかかるだろうと予測する。そのうち部屋の中に響く音のうち、インターフォンと怒号が消える。サクラよ、頼んだぞ。

死にもの狂いという言葉の通りに原稿を上げ、プリントアウトをして、這々の体でリビングへと足を伸ばす。
「……何やってんすか」
担当の遠藤さんがサクラを抱いてソファで寝ていた。序でに、サクラもスリープモードに入っている。
テーブルにはレモンティーと菓子が乗っている。私がやった訳ではないから、サクラがこなしたことになる。至れり尽くせりだ。
私が「サクラ」と呼ぶと、ぶぅん、と起動音がして、『はい!』と応えた。
「遠藤さん」
と呼んでも、こちらはスリープモードを解除しない。けれどサクラが起き上がると、「先生、原稿……!」
第一声がこれという。なんと残酷な仕様であろうか。
「お待たせしました、こちらです。デジタルデータは送信しておきましたので」
「ありがとうございます、先生。日が暮れる前に終わらせるなんて……これからもこの調子でお願いしますね!」
非情なことを言いながら原稿の束をざっと読み返して、大型の封筒に入れる。
「それにしても……」
遠藤さんはサクラの肩を組み、
「これ可愛いですね、結構気に入りましたよ。お値段が大変なのでうちには置けないですけど」
『?』
満更でもなさそうな顔でこちらを見る、サクラ。
「“これ”じゃなくて、『サクラ』と呼んであげると可愛く反応しますよ」
「サクラ?」
『はい!』
「よ〜しよしよし……」
『にゃ〜♪』
「猫じゃないんだから……」
モードが沢山あるサクラは、恐らく接待モードにでも入ってるんじゃないかと、それこそネコの如く甘えている。
再びサクラを抱いて、遠藤さんは言う。
「それにしても先生、この子、薄いキャミソールとパンツだけだなんて、ちょっと悪趣味じゃありません?」
ああ、そうか。え〜っと……
「元から着てたものなんです。原稿も上がったことだし子供服でも買ってこようか。ねぇ、サクラ?」
『はい!お供致しますか?』
「うん、何か羽織るものを……っと」
「それじゃあ先生、原稿、確かに受け取りましたので、そろそろ失礼します」
「はい、ご苦労様です」
『お見送り致します』
「サクラちゃん可愛いですねホント」
「だってさ、サクラ」
『ありがとうございます!えへへ……』

見送りが済んでぱたぱたとやってきたサクラに、上からパーカーを羽織らせると、サイズが大きいのか腿辺りまでのワンピースみたくなった。そして袖から手が出てこない。
「まあこれはこれで……」
可愛いわけである。一度ぎゅっと抱きしめると、ほっとした表情を浮かべる。
「んじゃ出かけるか!」
『はい!』